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[プレスリリース]植物の細胞が低温を感じる部位(細胞小器官)を特定~動物細胞との共通性も~
【発表のポイント】
・低温センサー分子(フォトトロピン)が細胞内のどの部分で働くのかを調査した
・フォトトロピンが細胞膜に保持されると植物細胞による低温感知が可能となった
・センサー分子が細胞膜に保持されると温度を感じることは植物と動物で共通する
■研究概要
宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの児玉豊教授の研究グループは、山口大学大学院創成科学研究科の武宮淳史准教授の研究グループと共同で、植物の細胞が低温を感じる部位(細胞小器官注1)を特定しました。動物の細胞では、TRPタンパク質注2と呼ばれるセンサー分子が細胞膜注3で保持されて温度を感じています(2021年ノーベル生理学医学賞)。しかし植物はTRPタンパク質を持っていないため、植物がどのように温度を感じるのかは、長年の間、解明することができませんでした。児玉教授の研究グループは、2017年に植物で初めてとなる低温域の温度センサータンパク質(フォトトロピン注4)を発見後、フォトトロピンが細胞内のどこで低温を感じるのかを調べてきました。今回、様々な解析の結果、動物のTRPタンパク質と同様に、フォトトロピンが細胞膜に保持されると植物細胞による低温感知が可能になることを発見しました。TRPタンパク質とフォトトロピンは、細胞膜への保持メカニズムは異なりますが、動物細胞と植物細胞が共通の細胞小器官(細胞膜)で温度を感じているということがわかりました。
本研究成果は、3月31日、学術誌「PNAS Nexus」オンライン版で公開されました。
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<本件に関する問い合わせ>
国立大学法人 宇都宮大学 学術院 教授 児玉 豊
TEL:028-649-5527
E-mail: c-bio※cc.utsunomiya-u.ac.jp
(※を半角@に置き換えてください)