2024年7月9日
実現させるコトを最初に決める
35歳の誕生日を迎えたある日、地元紙の宮崎中央新聞に掲載されていたアポロ計画についての記事を読みました。それは、当時のアメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが人の月面着陸を実現させるとの表明を発表し、そのためにあらゆる技術を総動員して前人未到の偉業が達成されたという内容でした。筆者はさらに、何より大事なことは、まず必ず実現させると決めることであり、その後にその目標を達成させるためにあらゆる方法を考えて実践することだと書いておられました。
その記事を読んだ時、私はすでに結婚して子どもたち二人が小学生であり、毎日仕事、育児、家事に追われる日々を過ごしていました。一方で、もう一度大学に戻って栄養学を専門的に学びたいという夢を10年以上持ち続けていましたが、お金もかかるし、家族にも迷惑がかかるし、というできない理由ばかりを考えていました。しかし、その記事を読んだ時に心が震えて、まずは大学院に行こうと決心することだ‼という大きな励ましをもらいました。
その後、時間を捻出して受験勉強をして大学院に入学しました。栄養学、化学、英語、PC操作など一からの学び直しで何度も挫折しそうになりましたが、指導教員、家族、同級生、友人の大きな支えのおかげで何とか修了することができました。大学院時代には、ルワンダ共和国、パラグアイ共和国、アメリカ合衆国での研究やインターンを通して多くの方々から学びをいただきました。
現在は、家政分野食生活領域の教員として食生活に関わる授業を担当しています。研究では、パラグアイ共和国の食事調査、ユニバーサル3D栄養表示システムの開発*1、アレルギー・ハラール対応のビーガン餃子、新たなお茶の開発などを行っています。
パラグアイ共和国での食事調査の様子
大学教員としては異色の経歴で、研究者としても未熟ですが、現在は学生たちや新しい人との出会いにより学びが深まり、世界が広がっていることを日々実感しています。今の仕事はやりがいがあって、とても楽しいです。これからも人との出会いに感謝しつつ、栄養学を軸に研究と教育を通して、いつかは国際貢献できたらと考えています。
*1 ユニバーサル3D栄養表示システムは、食品や料理のエネルギー量、栄養素等の量を視覚的に表現するデジタル上のシステムであり、筆者が考案し一昨年に特許を出願した。国や食文化による料理の違いがあっても「何をどれだけ食べればよいか?」が分かるようなアプリケーションの実用化を目指している。
ユニバーサル3D栄養表示システムを使用したホームページ(試作中)
カバリェロ優子 (かばりぇろ ゆうこ)
助教
共同教育学部
芸術・生活・健康系
学部卒業後パラグアイ共和国で青年海外協力隊家政隊員、日本で家庭科非常勤講師、牧場勤務等を経て、大学院に進学。お茶の水女子大学大学院(食品栄養科学)、リーディング大学院グローバル理工学副専攻修了(博士:学術)。研究テーマはルワンダ共和国、パラグアイ共和国の栄養課題、身体活動に伴うエネルギー代謝、お茶など。
※記事の内容、著者プロフィール等は2024年7月当時のものです。